大学図書館

7年ほど大学図書館に勤めていたことがあります。
当然蔵書の大半は専門書、それも学術書になってきます。

実は学問の最先端では、図書という形式は重要度がそれほど高いものではありません。
体系だった内容を記すのには向いていますが、新しい発見や理論を書くには時間がかかりすぎる上、同じ専門分野を研究しているメンバーによって内容のチェックを受ける機会がないからです。


もちろん体系的に一つの研究についてまとめる事には向いていますし、また教育的なツールとして図書資料の重要性は極めて高いため、良質な学術書が大学図書館の蔵書構成の中でも重要なことに変わりはありません。

学術研究の発表の場として代わりに重視されるのが雑誌論文です。
学術雑誌の場合、その分野の、多くは第一人者による投稿内容のチェック(レフェリー)を経て掲載されるので、それだけ内容に関する信頼性が高くなります。
そのレフェリーの質により、雑誌自体のランク付けも変わってくるのです。
研究者は、自分の論文が掲載された学術雑誌のランク、それから掲載された論文の引用される数によって学術的な評価が変わってきます。
国際的な学術雑誌に掲載された論文の引用数を調べるツールも存在します。
この傾向、人文系よりは理科系に顕著であり、文系でも計量経済学などでは伝統的に理科系と同様の傾向にあります。

雑誌論文の場合、引用されるのは新しい情報が多いので、古くなればなるほど研究資料としての価値は下がってきます。
それでも時々必要になるので、それに備えて大学図書館では学術雑誌を製本して保存していました。
これが重くて大きくて扱いにくかったのですが。

時代は変わり、学術雑誌はオンラインジャーナルで出されることが主流になりました。
お蔭で図書館員の腰痛のリスクは減ったものの、古い世代の大学図書館を知るものとしては気掛かりなことがあります。
それは物理的なものが手元に残らないこと。
出版元が倒産したら、オンラインジャーナルの内容自体が消えてなくなるリスクがあるのです。

したがって私は今でも紙ベースで蔵書を増やしていますが、最近は専門書を整理するために参考書・テキスト高価買取 (学参プラザ)などを買取情報を見て、郵送で本を買い取ってもらったり、オークションで古本を購入したりしています。