人生と年金

年金というものはその人の「生き様」を表すものだなとつくづく感じます。
どんな仕事をして、どこに住み、どのくらいの収入を得ていたのか。年金納付記録に凝縮されています。

A子さんは地方出身の60歳。年金受給の年齢になりました。
納付記録を見ると集団就職で関西に行き、そこで結婚して子供を産み、30代で一家でA子さんの地元に戻ってきました。

申請書類に戸籍謄本と世帯全員記載の住民票が必要な旨を伝えると、なんだか言いにくそうに言いました。

「うちのダンナ、外国籍だから載ってないのよね」

何度もお会いして、申請の手続きをしていく中で一度も触れなかったご主人の事を初めて教えてくれました。
A子さんより一回り年上のご主人は関西で生まれ育った外国籍の方です。
妻であるA子さんは日本人ですが、加給年金の関係上、夫婦である証明が必要になります。
戸籍謄本に記載されていないのでは夫婦ということが証明されません。

外国籍の方が珍しい地方では、役所も年金事務所もすぐにはわかりませんでしたが翌日、年金事務所から返事が来て、「登録原票記載事項証明書」が必要だとのこと。
早速、役所で受け取り、無事手続きをすることができました。

奥様の年金手続きにより、その一家の歴史を知り、なによりも朴訥なご主人が不慣れな土地で御苦労されたことも多かったのでは?と感じ、つくづく年金は「その人の歴史」だなと感じた出来事でした。
※現在は外国籍の人も住民票に記載されています。

現在若者の年金未払いが問題になっていますが、このようにしてもらうための努力をして来た人の話を聞くと、どうしてこんなに待遇の良い精度の権利を放棄してしまうのか疑問に思います。

若い人でも、怪我をして障害を持ったら、社労士に障害年金の受給を請求してもらう事も出来ますし、貯金と考えてもこれほど利率の良い金融機関は存在しないと思います。