オーディオキット

以前、「クリスキット」というメーカーの、アンプを使用していた時期がありました。

当時、様々なオーディオ遍歴を重ねていましたが、なかなか理想の音に出会えないでいました。
数十万円する高価なセパレートアンプを使用しても、満足の行く結果が得られず、モヤモヤした気持ちが拭えないでいました。
そんな時に、クリスキットとの出逢いがあったのです。

クリスキットは、文字通りキット形式のオーディオ製品を販売しており、製品はプリアンプとパワーアンプが1機種ずつある他に、スピーカーエンクロージャーやホーンスピーカーのキットも製造していました。
完成品の販売はないのですが、ハンダ付け作業が苦手な人の為に、代理で組み立ててくれる人を紹介してくれるシステムがありました。

一度も試聴した事もなかったので、どんな音がする製品なのか分かりませんでしたが、これは良い音がするに違いないという直観のようなものがありました。
そして、まずはプリアンプから導入する事にしました。

私は、ハンダゴテを使った経験もないので、組み立て代行システムを利用しました。
待つ事1週間程で、アンプが組上がり、手元に届きました。
早速、それまで使っていたプリアンプ(海外製の定価70万円程の製品)と入れ替えて、お気に入りのCDを聴いてみました。

すると、音の鮮度や分解能が大幅に改善され、トータルの音質が格段に良くなったではありませんか。
クリスキットのプリアンプは、製作費込で10万円少々だったと記憶していますが、何倍も高価な製品の音を上回ったのです。

これは凄いと思い、すかさずパワーアンプもオーダーし、同じように組み立てて貰いました。
パワーアンプの方も、値段は約80万円から10万円程へと、数分の一にダウンしましたが、音質は低音の厚みや力感が明らかに向上しました。

そこ後、入れ替えしたアンプはオーディオの買取り業者で買い取ってもらいました。

クリスキットのパワーアンプは、見た目は頼りなげで、重さも軽いのですが、高価なヘビー級パワーアンプの音質を凌いだのです。

オーディオは、決して値段や外見ではないという事を、痛感させられた出来事でした。